日野市立病院ホームページトップ > 診療部門のご案内 > 整形外科 > 人工関節の合併症について
人工関節後には一定の割合で合併症が生じることが報告されています。従って手術の際にはこれらの合併症を念頭において、術前の検査や対策を行うようにしております。特に重要なものを下記に記載します。
I. 感染
人工関節は血流がないため感染弱く、一度感染を起こすと治癒しにくい傾向があります。感染は術後創部や他部位からの血行感染によって起こります。日本ではおよそ1%に起こるとされています。当院では感染予防として、手術室にクラスⅠ対応のバイオクリーンルームを備え、人工関節の手術の際には必ず使用しています。また標準的なガイドラインに沿った予防的抗菌薬投与を行っています。感染が生じた場合は早期に関節切開による排膿、ドレナージと適切な抗菌剤の投与が必要となります。感染の予防には普段から歯周病や肺炎、尿路感染症、水虫などに対してケアを行うことが必要です。また、関節リウマチや糖尿病の方はリスクが高いとされていますので、術前にしっかりとコントロールをしておくことが必要です。
II. 術後骨折
人工関節を受ける患者様では、痛みにより外出や歩行頻度が低下している方が多く、骨質の低下や運動機能の低下により、術後に骨折を生じることがあります。その際はリハビリ期間を延長することや骨折治療手術を追加することで早期リハビリ復帰を目指します。骨粗鬆症が重症の場合はあらかじめ治療を行い、術後骨折の予防に努めることもあります。
III. 肺血栓塞栓症(エコノミークラス症候群)
深部の静脈血栓が肺の血管につまることによって生じます。主には無症候性のことが多く、診察のみでは発見できないことがあります。術後血液検査やリスクから疑いがある場合は下肢エコーや造影CT検査などで血栓の検索を行い、早期に治療を開始します。血栓の予防には早期の離床や足関節の持続的な圧迫療法が有効です。
IV. 金属アレルギー
人工関節はチタン、ニッケルクローム、アルミ、ステンレスなど多種な金属から構成されており、ごくまれに体内で金属アレルギーを起こすことがあるとされます。事前にアレルギーが判明していれば、表面を非金属で被覆した人工関節を使用する事予防することができるとされます。ただ完全な予防は困難であり、不安がある方は事前にお知らせください。
V. 人工関節のゆるみ
人工関節は長期間の経過によっては破損や摩耗が生じたり、母床となる自家骨に壊死などが生じ、術後のゆるみが起きることがあります。そのような場合は新たな人工関節に再置換術を行うことで社会復帰を目指すことが可能です。
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